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・・・とにかく、自分の目で見てみなきゃ・・・帰郷その1

5.1

 

「とにかく、自分の目で見てみらんと本当のことがわからん・・・」と思い、熊本に向かった。いつもだと一人で過ごす機内は、本を読んだり、スケッチしたり・・・と短い時間を楽しんでいたりするのに、今回ばかりは、いつもの状態にスタンバったものの落ち着かない自分がいた。

熊本に着く直前の窓からの様子。いつもの緑と畑に囲まれた阿蘇の景色とは違い、ブルーシートの屋根がパッチワークのように覆われていた。胸が締め付けられる想い。ドキドキする不安な気持ちがこみ上げてきた。空港には、父と母が迎えに来てくれていた。遊びにきたわけじゃないから、「お迎え」なんて必要なかったのに、「迎えに行くけんね!」と言われ・・・その気持ちを断れず、一緒に自宅に向かった。生まれ育った家は、耐震補強なんてされていない築41年の家。なのにあの地震にズシリと耐えてくれて、父と母を守ってくれていた。家に帰り着いて早々に、お仏壇に手を合わせ、家の周りを一周。ぐるりと見わたして確認。塀はゆがみずれている。屋根瓦もずれ落ちている。・・・でもそれだけ。それだけで済んでいた。きっとご先祖様が守ってくれたに違いない。きっとそうだと思う。

 

家の安全を確認後、益城に住む知り合いの住職さんへ、ガスボンベを渡すために出かけた。益城の町々は、ニュースで見る以上に悲惨な状況。自宅から10分ほどの益城の町が、変わりはてた姿になっていて言葉を失う。。。

益城からの帰り道、自宅近所にある、母方のお墓参りに行った。・・・墓石は倒れ、骨壺は割れて骨は散乱。母は、立ちすくみ、言葉をなくし泣いてしまい何もできない状態。私もその光景に唖然としてしまった。だけど、少しでも今やれること・・・。骨壺をガムテープで補修し、骨を集めて戻し、雨よけにビニールシートをかぶせて帰ってきた。

 

大きなことは何一つできなかったけど、小さなことでもやれることからやっていくことが、今の使命だと思った。この先、私に何ができるんだろう。何か力になりたい。でも何ができるんだろう。そればかりが頭の中でぐるぐる回っている。

 

寝る前に余震。。。熊本ではこれが毎日なんだね。。。ゆっくり眠れるわけないよ。

 

どうか、これ以上、揺らさないでください。お願い!